高級時計（特に機械式時計）の寿命は、「適切なメンテナンス（オーバーホール）を定期的に行えば、理論的に半永久的に動き続ける」 と言われています。これは、高級時計が以下の特徴を持つためです。

頑丈な構造と高品質な素材：高級ブランドは、サファイアクリスタル（風防）、ステンレススチール、貴金属、精密に加工された歯車や軸受けなど、耐久性の高い素材と構造を採用しています。
修理・部品交換の可能性：主要メーカーは長期間（数十年～）にわたり修理サポートと純正部品の供給を続ける傾向にあり、時計を「生き続けさせる」体制が整っています。
メカニカルムーブメントの特性：クォーツ時計は電池や電子基板の寿命に左右されますが、機械式（手巻き/自動巻き）は物理的な動きで駆動するため、定期的なメンテナンスで摩耗部品を交換すれば動き続けます。
実際の寿命に影響する重要な要素
定期的なオーバーホール（分解掃除・注油・調整・部品交換）：
これが最も重要です。一般的な目安は 5～10年に1度（使用環境やモデルにより異なる）。
オーバーホールを怠ると、内部の潤滑油が劣化・乾燥し、部品が摩耗し、精度が落ちるだけでなく、大きな故障（歯車の破損など）の原因になります。
使用環境と取り扱い方：
衝撃：強い衝撃は歯車の破損や軸の曲がりの原因に。
水・湿気：防水性能があってもゴムパッキンは経年劣化します。防水でない時計は特に注意。内部の錆は致命的。
磁気：強い磁気は精度を狂わせます（多くの高級時計は耐磁性を備えていますが）。
高温・極寒：極端な温度変化や長時間の高温は潤滑油やパーツに悪影響。
使用頻度：毎日使う時計と、ほとんど使わない時計では劣化のパターンが異なります。
モデルと複雑さ：
シンプルな3針モデルは構造が単純で長持ちしやすく、メンテナンスも比較的容易。
トゥールビヨン、永久カレンダー、ミニッツリピーターなどの超複雑機構は部品点数が多く、繊細なため、メンテナンスの難易度とコストが高くなり、故障のリスクもわずかに上がります（それでも適切なケアで長寿命）。
素材：
ケース/ブレスレット：貴金属（金、プラチナ）は柔らかくキズが付きやすいですが、劣化せず、研磨で再生可能。ステンレススチールは頑丈で実用的。

風防：サファイアクリスタルはキズが付きにくく長持ち。アクリル樹脂はキズが付きやすいが交換可能。

高級機械式時計の寿命は「半永久的」 と考えて良い。ただし、それは定期的なプロによるオーバーホール（メンテナンス）が絶対条件。