今回はエクスプローラー I について取り上げる。ちなみに正式にはモデル名にローマ数字の「 I 」は本来付かないが、その後に登場したエクスプローラー II と区別しやすくするためにかなり前から便宜上付けられていたもので、いまや時計好きの間ではそれを短くした“エクワン”という愛称で呼ばれるぐらいに浸透している。そのためここでもエクスプローラー I を使わせていただく。
さて、エクスプローラー I の購入を考える際に、迷わず最新スペックの現行モデルという人もいれば、現行にするか旧型にするかを悩んでいるという人もいる。そこで今回は、後者でしかもひとつ前の旧型との比較を前提として書いてみたいと思う。
現行モデルは2021年のモデルチェンジで登場した7代目のRef.124270である。そしてそれの旧型となるのは、2010年から20年まで製造された6代目Ref.214270だ。最大の違いは大きく二つ。自動巻きムーヴメントが3100系から現行は最新の3200系に変わった点と、ケースが39mmから36mm径へとサイズダウンし、誕生当初からの本来のサイズに戻った点である。
通常、現行とひとつ前の旧型で検討するとなると、予算的な理由が大きいのだが、エクスプローラー I のこの世代においては、サイズの違いも検討する際の重要なポイントとなってくる。サイズ感は手首の太さによってまったく変わってくるため、この両者で検討する場合は、必ずショップに行って実際に手首に乗せてみてサイズ感を確かめることが大切だ。
一方、存在感があってやっぱり39mmの旧型がいいという人は、ひとつ知っておいてもらいたいことがある。それは2016年にマイナーチェンジされているためそれ以前と後では若干仕様が違っているという点だ。そのため前期と後期に区別されており、その仕様変更は以下のとおりである。
1、時針と分針が前期より太くなり、かつ分針と秒針も長くなっている
2、インデックスの3・6・9にもクロマライト夜光が付いたため夜間の視認性がさらに向上
3、バックルの折り返し部分が鏡面仕上げに変更された
上記で最もポイントとなるのは1項の針の長さである。前期タイプは分針が少し短かったために針の先端が秒目盛りに届いていなかった。それが後期になって改善されたことでフェイスのバランスが整ったというわけである。相場にも若干の違いがあり、前期型が100万円台からで後期型が110万円台からというのが目安となっている。
右が現行のRef.124270。左が二つ前の旧型、Ref.114270である。ともにケースは36mm径。現行のほうがだいぶモダンな印象だ
なお、サイズ的にはやっぱり王道の36mm径で、予算も抑えたいという人は、さらにもうひとつ前の旧型、5代目として2001〜09年まで生産されたRef.114270がおすすめだ。現在の相場は70万円台から90万円台で80万円台が中心といったところ。2000年以降のモデルは堅牢な作りで耐久性もかなり向上しており、安心して使えるため一考の価値はあるだろう。
さらにそれ以前の4代目については連載129回で「36mm径の4代目、旧型エクスプローラーはこんなところが魅力」(下をクリック)と題して取り上げているためそちらを参照いただきたい。