信じがたいことに、このジャンルは1970年代にジェンタの手で創造し確立された。20歳で宝飾職人の国家資格を取得して時計メーカーに入社。1950年代半ばから、フリーランスの時計デザイナーとして活動を開始し、スイスを代表する名門時計ブランドから依頼を受けるなど、業界の常識を破る革新的な時計を数多く残した“史上最高の天才時計デザイナー”といわれている。
今回紹介するインヂュニア・オートマティック 40は、1976年に発売された名作「インヂュニアSL」の最新モデル。インヂュニア(INGENIEUR)はドイツ語でエンジニア(ENGINEER)=技術者を指し、1955年に誕生した「インヂュニア」がルーツとなっている。
本題に入る前に、インヂュニアSLについて説明しておこう。航空計器の持つ磁気の影響を回避するため、8万A/m(アンペアメーター)という強力な耐磁性を備え、1948年に誕生した伝説のパイロットウォッチ「マーク11(イレブン)」から生まれた技術者のためのモデル。
1960年代まで、スポーツウォッチとドレスウォッチはまったく別ジャンルの時計だった。ドレスウォッチといえばゴールド製で、ステンレススティールを素材に採用することは、あり得ないことだった。だが1971年に起きたアメリカの金ドル交換停止「ドルショック(ニクソンショック)」と呼ばれる世界経済の大事件がこの状況を変えた。金価格は以前の3倍から5倍に高騰し、スイスの時計ブランドは金以外の素材で変わらぬ魅力を持つ時計の開発を迫られた。
そのような状況下、各社から依頼を受けてデザインしたのがドレスウォッチとスポーツウォッチの魅力を兼ね備えたラグジュアリースポーツウォッチだった。誕生当時はデザインの革新性、画期的な価値は認められなかったものの、時を経るごとに愛好家の間で再評価され人気に。当時としては大きめの直径40㎜サイズで、コレクターの間では“ジャンボ”と呼ばれている。
そして、いよいよ本題。このモデルの基本デザインを継承しながら、最新技術によって進化させたのがインヂュニア・オートマティック 40で、今春ジュネーブで開催された時計フェアでお披露目された。
オリジナルと同じ直径40㎜のケースに、スポーツウォッチとは思えない厚さ10.7㎜の薄型。H型リンクを使ったケース一体型のブレスレットを採用し、軽快な装着感と時代が求めるスポーティでエレガントなテイストを両立した。アイコンともいえる5本のビスで留められたベゼル、“グラフペーパー”と呼ばれる格子縞(こうしじま)の文字盤デザインも継承。ケースにはリュウズを保護するリュウズガードが新たに盛り込まれた。
時計の“心臓部”には、自社で開発製造された機械式ムーブメントが搭載され、約120時間パワーリザーブ(約5日間)を装備。また、ムーブメントを軟鉄インナーケースに納める構造にしたことで、4万A/mという優れた耐磁性を実現した。スマートフォンやタブレット、パソコンや家電など、私たちの周囲にあふれる電子機器の磁気によるトラブルを最小限に抑える設計となっている。
IWC激安コピー文字盤カラーはブラック、ホワイト、グリーンの3種類。よりスペシャルなモデルを望む人には、ケース&ブレスレットにグレード5チタン(純チタンよりも強度の高いもの)を使用した軽量モデルも用意されている。